願うのはひとつだけ【男2】
題名『願うのはひとつだけ』
全年齢 男性2人用 10分程度
颯介(そうすけ):就職と共に地元を離れていたが、今回帰省している。しっかりしてて同じ年ながらも2人のお兄さん的存在
悠太(ゆうた):颯介と小さい頃からの幼なじみ。地元に残って就職。璃子と付き合っている。
(璃子(りこ):悠太と付き合っている。無邪気。→登場するがセリフはなし)
男性1名×女性1名ver.もございます
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題名「願うのはひとつだけ」
作:みつばちMoKo
颯介:
悠太:
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颯介:あれ?あいつは?
犬の散歩に付き合えっていうから来たのに。
悠太:コンビニ寄ってから来るって。あの公園に集合だってさ。
颯介:まさか、またアレ買いに行ってんの? よく飽きないな…。
悠太:まぁ、先に行ってよ。すぐ来ると思うから。
(犬を散歩しながら二人で歩き始める)
颯介:変わらないな、この辺も。
悠太:いや、少し変わったよ。
あっちの通りの方とか新しい店増えたし。
まぁ、この通りは住宅街だから。変わった感じはしないよね。
颯介:あぁ。あっちの奥の方行くと空き地だよな。
さらに裏山の方に続くところが深い段差になってるとこ。
あそこ、フェンス破けてたの直してあったけど、今もあのまま?
悠太:……うん。あぁいや、今はブロック塀で越えられないようになってる。
もう怪我人が出ないように。あのあとも、落ちた人がいたから。
たいしたケガはなかったみたいだけど。
颯介:そっか…。
颯介:よし、公園ついた。
あれ?まだあいつ、いないね?
悠太:そのうち来るでしょ。そこに座って待ってよ?
(ベンチに座る)
悠太:なぁ。あの時さ…。
璃子、あの段差におちて、気を失ってた時。
最初に助けたの、お前だって璃子に言わなくていいの?
いまだに目を覚ました時にいた俺が助けたって思ってるよ?
颯介:…うん、いいんだ。
アレがキッカケかどうかはわからないけど、そのあとお前らが付き合う ようになったんだし。
良かったんだよ、これで。
だって、あいつがお前を好きなのをずっと見てきたんだ。
お前がはっきりしないだけで、何か事が起これば上手くいくって思ってた。
悠太:正直さ…。本当のこと話して、璃子の気持ちが颯介にいっちゃうんじゃないかって思って…。
俺もずるいよな。だから、言えなかった。
颯介:しっかし。自分の彼女のことを好きな男を近くに置いとくかねぇ…?
悠太:当時はいろんな複雑な気持ちがあったけど…。
お前は…。颯介は、璃子と俺の幼なじみと言う前に、俺の親友だから。
颯介は裏切ることは絶対しないっていう自信あったんだよね。
どっちの親も忙しいから、いっつも一緒につるんできたんだ。
そんな簡単に女のことで、切り捨てられるかよ。
それに…。璃子の父親亡くなって塞ぎこんでた時、元気な元の璃子に戻したのは颯介だしな。感謝してる。
颯介:それはあの時俺が勝手に決めたんだ。
自分の想いをぶつけて、もう二度と近くにいられなくなるなら、このままでいい。
そばにいて、お前のことの相談もなんでも受け止めてやるって。
俺の一方的な想いでも、あいつが笑顔になれればそれでいい。
近くにいて、笑ってくれればいいって。
でも出来れば、その笑顔をつくるのは自分でありたいっていう俺のワガママ。
小4の時、俺らの家の前にあいつが引っ越してきて。
親同士が挨拶してる時、あいつ初めに何ていったか覚えてる?
「チョコレート、食べる?」だよ。
普通、自分の名前とか“よろしく”とか言うよな。
悠太:ああ。すげーびっくりしたから覚えてる。
あれ、すごい甘かったしな。
颯介:まぁ。いま考えるとあいつらしいっていうか。
ちょっと抜けてるからな。鈍感だし。
…まぁ、俺としては鈍感で助かったけど。
悠太:本当に鈍感なのかね…。
女ってあざといんだって。知らないフリ、分からないフリしてた方がいいこともあるって璃子が言ってた。
颯介:ん?どういう意味?
悠太:分からないならいいよ。
なぁ。…颯介、本当に璃子のこと、吹っ切ってる?
颯介:…なに。いきなり
悠太:親友の目、見くびんなよ。
颯介が長い間、璃子を見てきたように、俺だって颯介のこと見てきてんだよ。
颯介:何、言ってんの。俺はもうとっくに吹っ切ってんの。
それに今まで彼女だっていたじゃん。不毛な恋はもう懲り懲り。
悠太:ホントだな?信じるよ?
…もう今日しかないんだよ。もし伝えるとしたらラストチャンスなんだよ?
明日になったら、璃子はもう俺のもんになるんだよ?
颯介:…伝えることは何もないよ。お前らが幸せになってくれればそれでいい。
願うのはそのひとつだけ。
いろんな感情知れたし、感謝してるわ。
悠太:そっか。わかった。
颯介:でも、人を好きになるのってさ、たぶん理由とか理屈とか通用しねーし。
その感情は意味や理由とかを吹っ飛ばして最強なんだよな…。
俺、学んだわ。何年もかかったけど。
悠太:明日、遅刻せずに来いよ。
颯介:式にはちゃんと行くよ。
パーティーには出れないけど。
悠太:パーティーに出れないこと、璃子に伝えるなって言うからそうしてるけど。
俺、つらいんだけどな。
だって、パーティーで3人で写真とるって張り切ってんだよ?
颯介:仕方ないじゃん。海外赴任決まったんだから。
明日の夜の便で行くんだし。
悠太:…颯介、…わざと明日の便にしただろ?
まだ、赴任まで日数あるくせに。
颯介:ん?
悠太:いや…。
颯介:ちゃんと神様の前で誓い合うのを見届けるよ。
それで、やっとリセットできる気がするしな。
(璃子、公園に現れる)
颯介:あっ。やっと来たな。
やっぱりあのチョコ買って来てる。
おせーよ。待ちくたびれた。
ん?なに?
あぁチョコ、食べるかって…?
お前、変わんないな…。 あーいや何でもない。
ひとつ、貰うわ。
ん…。昔よりちょっと苦くなったか…?
そんなに好きなの?
(璃子:「うん。好き!」と返事)
そっか…。
ふぅ、よし。俺、先帰るわ。
悠太:えっ今来たばっかじゃん。
颯介:俺、これから髪切りに行くの。
明日、ビシっとスーツで行くんだし。
悠太:そうなの?
明日のためなら、引き止められないな。
颯介:じゃあな、また明日。
あー…。伝えること、あったわ…。
璃子…。
結婚。おめでとう。
幸せになれよ。ちゃんと幸せにしてもらえ。
ずっと笑ってろよ。
悠太、…お前もな。頼むな。
あぁ、そのチョコ。向こうになかったら送って。
……懐かしくなったら食べるから。
じゃあな。
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