夏の夜、君と星空【男1:女1】

題名『夏の夜、君と星空』

声劇用 男性1名 女性1名 20分程度


<登場人物>

・中窪 修斗(なかくぼ しゅうと):大学生。夏鈴を含む仲の良いグループでいつも遊んでいる。

・北河 夏鈴(きたがわ かりん):大学生。修斗とは仲の良い友人関係。二人だけでも遊ぶ。



修斗の部屋で仲間で遊んでいた。

夏鈴が突然花火がしたいと言ってふたりで部屋を出て、公園に来る。



男性一人読み用『夏の夜、君とキス』を元に男女サシ劇用に加筆修正した台本です。

<参考>


以下をコピーしてお使い下さい


題名『夏の夜、君と星空』

作:みつばちMoKo

中窪 修斗:

北河 夏鈴:

https://mokoworks.amebaownd.com/posts/46025372/





001 修斗:次、これにするか。


002 夏鈴:私、これ。


003 修斗:それも、火つける?


004 夏鈴:うん。


005 修斗:ん。ちょっとこっちに近づけて。


006 夏鈴:お願いします。


007 修斗:よし。 わっ。その花火、結構、勢いあるな。


008 夏鈴:見てみて〜。めっちゃキレイ!


009 修斗:こら、振り回すな。


010 夏鈴:だって、ほら。見て!


011 修斗:もう、テンション高すぎ。

ほかの奴らは酔っ払って俺の家で寝てるし…。

急に花火したいとか言うからとりあえず出てきたけど。コンビニにあって良かったな。


012 夏鈴:次、これ!


013 修斗:え、もう次? 早くない?


014 夏鈴:だって楽しいんだもん。


015 修斗:それ終わったら、もう線香花火しかないぞ。


016 夏鈴:えぇ〜そうなの…?


017 修斗:もっと量多いの買えば良かったな。


018 夏鈴:あ〜終わっちゃった…。手持ち花火、もうないんだ…。


019 修斗:終わった? んじゃ、線香花火やろ。


020 夏鈴:ん。


021 修斗:こっち。隣、座って。


022 夏鈴:はーい。


023 修斗:はい、一本。


(線香花火に火をつける:あればSE線香花火の音)


024 夏鈴:最後まで落とさないように頑張る。


025 修斗;そういえば、今日、先輩と会ってたんだっけ。なに、話してきたの?


026 夏鈴:んー色々。今なにやってるとか。


027 修斗:ふーん。あの先輩って去年留学してたんだっけ?元気そうだった?


028 夏鈴:……うん、元気だったよ。


029 修斗:たくさん話できた?


030 夏鈴:うん。いろんなこと話せたよ。聞きたかったこともあったし。なんか背中を押してもらった感じ。


031 修斗:そっか。良かったな。


032 夏鈴:女の私から見ても同姓からも人気ある人だったから、ちょっと緊張したけれど。すごく有意義な時間だった。


033 修斗:留学から帰ってきてますます人気増したよな。


034 夏鈴:いいよね、パワーアップした感じ。私もそうなりたい。

あー…夏休み終わったら、突然私も人気出たとかないかな…。


035 修斗:突然一気には無理だろ。

なんかさ、休みのたびにお前と一緒にいるような気がするわ。

まぁ、気がするんじゃなくって事実か。あいつらと一緒に大勢で遊ぶ時もあるし、こうやって二人で遊んだり、買い物したり。


036 夏鈴:そうだね。一緒にいること多いね。


037 修斗:……お前は俺と一緒にいると楽しい?


038 夏鈴:うん、…楽しいよ。


039 修斗:そ? なら良かった。


040 夏鈴:修斗は? 私と一緒にいると…どう?


041 修斗:俺は…。俺は、すっげー楽しいよ。

  あっ。それ落ちそう。


(ボーッと彼女を見つめる)

(急に黙ったので、彼女が不思議そうにする)


042 夏鈴:……どうしたの?


043 修斗:……ん? あー、花火の明かりとお前の横顔見てた…。


044 夏鈴:…やだ、なんか恥ずかしいじゃん。……も、もう一本ちょうだい。


045 修斗:はいはい、新しいやつね。 …どうぞ。


046 夏鈴:……ありがと。


047 修斗:なぁ…。来週のお前の誕生日はどーすんの?

あいつらとみんなでパーティする? …それとも二人でお祝いする?


048 夏鈴:どうしようかなぁ。 いつも通りじゃない?誰かの誕生日はみんなでっていう。


049 修斗:あのさ…。二人でしたい。お前の誕生日、俺が祝いたい。


050 夏鈴:……え?え?


051 修斗:なに、動揺してんだよ。


052 夏鈴:別に動揺してないし。


053 修斗:なぁ…俺はいつまで一番仲のいい男友達でいればいい? 一番、距離が近いと思ってんのは俺だけ?

俺と会ってる時、話してる時、嬉しそうに、恥ずかしそうにしてる。


054 夏鈴:それはっ、…楽しいからだし! 恥ずかしそうなのは笑いすぎて引かれたかもって思うからだし! たぶん、うん、そう。


055 修斗:本当にそれだけ?


056 夏鈴:う…、たぶん。


057 修斗:それだけじゃないだろ。

きっと…。この関係を壊すのが怖いんだろ?付き合うと終わりがあると思って、この状態を続けようと思ってんだろ?


058 夏鈴:どうしたの?急に。 突然すぎて話についていけない。

帰ろ。…私、もう一回コンビニ寄って帰るから先に戻ってて。


(彼女が立とうしたため、手を取る)


059 修斗:待って。このまま、ここにいて。


060 夏鈴:手、離して…。


061 修斗:逃げんな。…お願い、逃げないで。


062 夏鈴:…逃げてない。


063 修斗:ごめん。でも俺はこの状況を壊したい。終わりがあるなんてそんな不安、ずっと一緒にいて、吹き飛ばしてやるよ。


064 夏鈴:……。


065 修斗:顔、こっち向いて。

…ずっと好きだった。…すっごい、好き。

口を大きく開けて笑うとこも、やらなきゃいけないことは実はちゃんと真面目にやってるとこも、意外と周り全体を見てみんなのこと気にしてるとこも…。

お前も俺のこと…。好き……、だろ…?


066 夏鈴:……なんで、今、言うの…。


067 修斗:今、チャンスだと思ったんだよ。お前は、…どうなんだよ。


068 夏鈴:いや、ほら、その…ね?


069 修斗:その?


070 夏鈴:私にだって色々事情があって。


071 修斗:その事情も全部受け付ける。


072 夏鈴:……答えなきゃ、だめ? 今、言わなきゃだめ?


073 修斗:今、言って。


074 夏鈴:えーと。その……。


075 修斗:うん。


076 夏鈴:好き……です。


077 修斗:はぁ…。良かった。俺の勘違いじゃなかった。


078 夏鈴:…もーやだ。


079 修斗:下、向かないで。顔、見せて。


(彼女、顔を上げる)


080 夏鈴:(小声で)…なに?


081 修斗:ふふ、可愛いな。


082 夏鈴:なっ。ちょっ。可愛いとか、なに? 言われたことない!


083 修斗:ずっと思ってた。可愛いって思っても、“冗談でしょ”って真に受けてくれないだろうから、言えなかった。それに、キスしたい、抱きしめたいって。


084 夏鈴:……なんなの。


085 修斗:なんで泣きそう? まだ不安? それとも、うれし涙?


086 夏鈴:なんでなのか分からないよ…。


087 修斗:泣くなら、俺の胸で泣いて。……おいで。


(立ち上がって抱きしめる)


088 夏鈴:……優しいハグするんだね。


089 修斗:…ドキドキしてんの、わかる? お前に触れただけでこうなんの。

どうしよ。幸せで俺も泣きそうなんだけど。


090 夏鈴:なんで修斗も泣くの…。


091 修斗:顔、赤くなってて可愛い。ますます好きにさせてどうすんの?

よくわかんないけど、でも“もっと”って思っちゃう。手を握ったり、触れたり。

まあ、その…。それは、これからわかる。悪いけど、いろんなこと、お前とで妄想してたから。…だから、覚悟しといて。


092 夏鈴:やらしー。


093 修斗:男は好きな子にはそんなふうになんの。


094 夏鈴:……女だって、そうだよ。


095 修斗:あー、離したくないな…。


096 夏鈴:みんな起きちゃってるかな。


097 修斗:いや、あれだけ飲んでたらそう簡単に起きないだろ。


098 夏鈴:そっか。


099 修斗:気温下がってきたし、仕方ないけど、帰るか。

手繋いで帰ろ。ん。


(手を繋ぐ)


100 夏鈴:ちゃんと手を繋ぐの初めてだね。


101 修斗:そうだな。恋人同士になったって感じ。


102 夏鈴:なんか照れる。


103 修斗:同じく。


104 夏鈴:手、おっきいね。


105 修斗:この手で夏鈴を守るために大きいんだよ。


106 夏鈴:だから!そういうの…照れる。


107 修斗:…あー、ちきしょー。 なんで、今日あいつら部屋にいるんだよ…。


108 夏鈴:ふふ。


109 修斗:あ。笑ったな? だって、せっかくイチャイチャできるかと思ったのにさ…。


110 夏鈴:だって、考えてること筒抜けなんだもん。


111 修斗:仕方ないだろ。


(少し間をあける)


112 修斗:線香花火、余っちゃったな。 また来週、一緒にやろうか。


113 夏鈴:そうだね、夏はあっという間に終わっちゃうからね。


114 修斗:これから線香花火をやるたび、今日のこと思い出して、幸せな気分になりそう。な?


115 夏鈴:いい記憶になったから。ね?


116 修斗:その上目遣いと笑顔、可愛すぎ。


117 夏鈴_:だから、慣れないから!甘い!


118 修斗:好きな子に何度も可愛いって思うの当たり前だろ? だからこれからいっぱい言う。それに、今日の俺が甘いって思うのも、今までの俺は友達としての俺。前までとは違うかもしれないけれど、今の方が本当の俺。一緒にいたらわかっていくと思うけど、好きな子には甘いと思う。だから、慣れていって?


119 夏鈴:……うん。努力します。


120 修斗:やば。 なんかニヤけちゃうな…。


121 夏鈴:顔、戻して。


122 修斗:…とりあえず、戻ろうか。行こ。 嬉しい。やっと俺のものになった。


123 夏鈴:私はものじゃないよ?


124 修斗:いやそういう意味じゃなくて、えーと、そう!独占欲!


125 夏鈴:ふふ。わかってるよ。


126 修斗;なんだよ、からかうなよ。


127 夏鈴:なんか必死だから、面白くて。


128 修斗:そりゃ必死にもなるさ。


129 夏鈴:こうやって二人で歩くのも、さっきとは違う感じがするね。夜空も、空気も、景色も。全部違って見える。キラキラしてる。


130 修斗:おんなじこと思ってた。


131 夏鈴:私、ずっと忘れないよ。肺の奥まで吸い込みたくなるぐらい澄んだ空気も、プラネタリウムみたいな星空も。


132 修斗:俺も忘れない。


133 夏鈴:…ね、本当にずっと一緒にいるつもり?


134 修斗:うん。


135 夏鈴:ずっと離れないつもり?


136 修斗:うん。


137 夏鈴:なにがあるかわからないのに?


138 修斗:やっぱり何か不安あるのか?


139 夏鈴:……ううん。自信あるんだなぁって思って。


140 修斗:関係が壊れるのを俺だって怖くなかったとは言えない。だからやっと前に進めたのに俺から手放すなんてあり得ないよ。


141 夏鈴:そっか。


142 修斗:うん。


143 夏鈴:もし。もしね。どうしても一緒に居れなくなったときがあったとして。

私が修斗と離れることを選んだら、……どうする?


144 修斗:んー、できればその選択はして欲しくない。


145 夏鈴:そっか。


146 修斗:どうした?


147 夏鈴:んーん。例えばの話だよ。ほら、あのね、住んでるところが遠くなったりこれからするかもしれないからさ。


148 修斗:あー、まぁそれはどうにかなるでしょ。愛の力で。


149 夏鈴:ふふ。愛の力…ね。


150 修斗:ん?


151 夏鈴:修斗が言うと、ほんとにどうにかなる気がしてきた。


152 修斗:だろ。


153 夏鈴:さっきね。ちゃんと私のこと見ててくれてるんだなって思って嬉しかったよ。


154 修斗:好きな子のことはきちんと見てるに決まってるじゃん。


155 夏鈴:……修斗。大好きよ。


156 修斗:ばっ!ばか、突然言うな。


157 夏鈴:ふふ。なんかね、やっぱり言えるときに伝えておかないとって思って。


158 修斗:いや、嬉しいけど。


159 夏鈴:私、わかってるんだ。修斗は結局は私の気持ちを尊重してくれるって。だから私が決めたことには反対しないってことも。


160 修斗:そのとおり、だと思うけど……どうした?なんか意味深。


161 夏鈴:ばか、深読みしすぎ。……もうすぐ家に着いちゃうの、寂しいね。


162 修斗:ほんと、そう。


163 夏鈴:家に着いちゃうまで、この手の温もりと胸のドキドキを噛み締めなきゃ。


164 修斗:じゃあぎゅっと握る。


165 夏鈴:ふふ。ありがと。


166 修斗:星が綺麗だな。


167 夏鈴:うん。ずっと消えないでいて欲しい。


168 修斗:夜が明けて見えなくなってもまた暗くなればまた見える。また星に会える。

何度でも。


169 夏鈴:何度でも?


170 修斗:そう何度でも。


171 夏鈴:じゃあ、星が見えなくなるまでずっと繋いでて…。



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